日曜日  晴れ。
福田首相が勝浦へ出向いて、イージス艦衝突事故によって行方不明になっている父子の親族に謝罪した。親族代表の人が、帰りがけの首相に「関係者の思いを一人づつ聞いてまとめたという手紙を、官邸に帰ったらゆっくり読んで下さい と言って渡していた。
ここの漁港はあれ以来今日の首相をはじめ、防衛相、艦長、など[エライ]人が入れ替わり立ち代り訪れたが、対応する漁港の関係者はいつも冷静で、臆することなく、激することもなく,いうべきことをキチンと言っていた。安心して漁が出来るよう、原因究明をしっかりやって、2度とこんなことが起こらないようにして欲しい。これだけ。明快である。石破れの防衛相に親族の小母さんさんが、大臣さん、家の中が真っ暗になっちゃったよ、見てやってくれよ、と泣きながら訴えていたのが印象的だった。僚船の船長が航路について目撃したことを証言していたが、筋道が通っていてわかりやすかった。この人達は真実だけを語っているので説得力があるのだ。ごまかしも、語呂合わせの必要もないからわかり易い。そして親族は、捜索は誠意をもって充分やってもらったので打ち切ってもらいたい と提言したという。立派な人達だ。

それにしても、日本の政府は、年金問題、肝炎薬害訴訟、イージス艦事件、など後始末に追われるだけで国民のための前向きの政策が出てこない。政治も政策も政局問題に吸収されて前に進まない。我々は空しく時の経過を見送るのみ。

今夜のN響の時間、ブロムシュテット指揮のシューベルト交響曲第8番ハ長調「グレート」だった。ついこの間までシューベルトの第8番といえばあの「未完成」で、この「グレート」は第9番だった。「未完成」は第7番になった。なぜこうなったかの説明はなし。
 手持ちのフィルハーモニー版の楽譜の表紙には第九番(七)と書いてある。そして「グレート」は第7番とされていたが、第8番の「未完成」のあとに完成したので9番にしたという説明がついている。でも「未完成」は完成していないのだから説明としてはおかしいのではないか。そんな詮索はどうでもいい。
今日のブロムシュテットはよかった。この人は80歳だが、スラリとして、指揮ぶりは若々しく、そして情熱的。楽章ごとの解説をしていたが、旋律を口で歌い、どのようにいい曲かを具体的に説明していた。とくに長い第4楽章は歌いながら身振りを入れて、これはシューベルトがウイーンのカフェで仲間と手をつないで楽しんでる様な音楽で、その楽しさがいつまでも続くのだ と云う解説だった。(この曲を天国的な長さと言ったのはシューマンだったかな?)とにかくこの曲が好きで好きでたまらないという感じがよくわかった。指揮は長い曲だが暗譜。表情たっぷりで指揮ぶりは絵になる。久しぶりにいい演奏を楽しめた。今日は時間の都合で第3楽章をカットしたが、全曲の放映があれば録画どりをする価値がある。