ハルモニア

月曜日 雨。
寒し、冬 再来か?例年なら今頃は乾いた晴天が続くのだが、今年は暫く雨空が続くようだ。
おかげで終日引き篭もり、居ながら老人を決め込む。

直木賞作家の篠田節子さんに「ハルモニア」という作品がある。「居ながら」で読み始めたら、脳に傷害のある女性に「チェロ」を教えたところ、教師より遥かに上達が早く、難曲で知られるバッハのチェロ組曲の6番を弾きこなすまでになるというのがサブテーマになっていた。作品は音楽小説ではなく、篠田さんらしいホラーがらみの小説でそれなりに面白いのだが、バッハのチェロ組曲が最後まで鳴っている感じがあり、引き摺られて久しぶりにこの曲を聴くことになってしまった。この動機の軽さ!
小説に出て来る6番だけを聴くつもりだったが、バッハの誘惑に負け、おかげで、組曲の全6曲を聴いてしまった。6曲の中では3番の人気が高いようだが、自分は6番が好きだ。その上品な流麗さはいつ聴いても極上の輝きを感じさせる。篠田さんが小説に6番を取り上げた理由はわからないが、出来たらそれを聞いてみたいものだ。企業秘密かな?