虞美人草と三毛猫。

日曜日  曇り
寒い1日だった。これが冬というものだろう。
 夏目漱石「虞美人草」読了。もう3回目くらいか。独特の文体と、説明過多の文章に閉口して今まではあまり面白いとは思わなかったが、今度は、最後のドンデン返しや、何故この小説が「虞美人草」なのかも読み取れて興味深く読めた。今から丁度100年前に発表された作品だが、20代の男女が醸し出す雰囲気や会話が現代とはまるで違い、はるかに老成していて、言葉のやり取りはまるで禅問答!これが朝日新聞の連載小説だったのだから、当時の読者のレベルは相当なもの。今の20代の人たちの感想を聞いてみたいものだ。

朝日新聞といえば、三毛猫ホームズの赤川次郎氏が週1回”オペラへ行こう”というエッセイを夕刊に載せているが、これがなかなか面白い。何故面白いか。書いていることは自分が実際に観たオペラの舞台の感想に過ぎないのだが、これがアマチュアの実感に溢れているのだ。音楽評論のような余計な飾りがない。だから読んでいて共感を覚えることが多い。最近よく書かれているのは、新しい演出と、その舞台つくりのことなのだが、こんな舞台つくりではオペラを観たという感動は生まれない、と言い切る言葉は自分にもよく理解できる。今週はワーグナーのリング、特に、東京オペラシティーのワルキューレの舞台への失望が書かれていた。難しい理屈や評論ではなく、実感をそのまま書いているからわかり易いのだ。それにしてもびっくりするほどよくオペラに足を運んでいる。その点は羨ましい。

今日のN響の時間、ウイーンフィルコンサートマスターのライナーキュッヘルさんがソリストとして出演、12月の定期だ。初めてかと思ったが70年代にもソリストとして共演しているそうだ。
今日の曲はプフィッナーの協奏曲。初めて聴く珍しい曲だが、あまり面白くなし。指揮は下野竜也