謹賀新年

火曜日 晴れ。
新しい年が明けた。2008年。特に感慨はないが、無事であることはおめでたいというべきだろう。
 ということで あけましておめでとうございます。
去年の日本は「偽」の年だった。自分の1年はどうか、「呆」の年と自覚している。「偽」は再発防止という手があるが、「呆」にはそれがない。「万事用心」ということか。
朝酒の酔いを醒ますために散歩に出かけようとしたが寒いのでとりやめ、結局ぼんやり過ごす羽目に。「呆」の始まりだ。

マーラー交響曲9番を聴く。アバド指揮のウイーンフィル。88年のCD。柴田南雄氏はこの曲をマーラーの全交響曲の中で飛びぬけた出色の作品と評価し(岩波新書 グスタフ マーラー吉田秀和氏は えらく暗い、と切って捨てている。(新潮文庫 LP300選)
 たしかに、1番の「巨人」や、2番の「復活」にくらべると決して聴きやすい曲ではないが、第2楽章の情緒纏綿たるマーラー節や第3楽章のロンドブレスケの迫力、そして、とくに第4楽章のフィナーレが、今までの大音響の乱舞と全く変わって弦4部のppppで静かに静かに終わるところなど精神性の高い音楽を聴いたような気分になる。スコアは難しい。その意味で聴き込まねば聴いたとは言い切れない曲だ。聴き甲斐のある曲かも知れない。

 夜は恒例のウイーンフィル ニューイヤーコンサート中継を見る。今年はジョルジュプレートル。プレートルは歴史の長いこのコンサートの指揮者の中でも最高齢ではないだろうか?ビデオ撮りをして全部は見ていないが、お馴染みの「ドナウ」では、ロビーで踊っていたバレリーナが演奏しているホールの中まで入るという演出で観客に大受け!赤い花を一輪指揮者に渡してサッと引き揚げた。ラデツキー行進曲が終わると観客は総立ち、近年になく大変盛り上がったニューイヤーコンサートだった。70年近く、人気が衰えることなくこのコンサートが続いていることはやはりウイーンの文化の力なのだろう。日本では望めないことだ。