正宗白鳥「作家論」を読む

火曜日  晴れ。
終日 快晴。空気も乾いて爽やかなり。秋晴れだ。青空に誘われ、用事があるわけではないが街まで散歩に。途中キツイ石段を登ってお稲荷さん参拝。株価の上昇を祈念す。文字通り神頼み。

キツイ石段でした

お稲荷さん、 名前は豊川稲荷といいます。


正宗白鳥「作家論」読了。自分にとって、白鳥という人は名のみ高いが作品は手に取って読んだことなし。岩波文庫のカタログには4冊ほど作品集が入っているが現見たこともない。皆絶版かな。この「作家論」は、昭和の初めに主として「中央公論」に発表されたものを集めて、最近岩波文庫の1冊として出されたもの。大体作家論とか、文学評論の類は論者の独りよがりの価値判断が多くて余り面白いものではないが、白鳥のこの論集は、思いがけなく、一読明快、何を言いたいのか分り易くて参考になること多し。漱石論で「坊っちゃん」は文章がキビキビしていて「虞美人草」の如き美文調の徘徊味より万人向きだ と説いているところは同感。漱石が小説を書かず、大著の「文学論」や「文学評論」の調子で英国各時代の文学史を書き残してくれたらもっと有難かったと白鳥は述べているが、この人の学識の高さを語るものだろう。この著を読んで、白鳥が高い評価をしている岩野泡鳴の5部作と長塚節の「土」を読みたくなった。そして、漱石の「文学論」と文学評論」も。大変だ!

正宗白鳥は全30巻の全集を残し、昭和32年に83歳の生涯を閉じている。文化勲章も受章した大文学者だった。