ブルックナー

水曜日 晴れ。
今日の新聞に「ミンミン蝉鳴かぬ夏が心配」との投書があった。長野県 上田市の人からである。当地も同じ。このところ2〜3匹の蝉の声がするようにはなったが、例年の夏らしい蝉時雨ではない。天変地異のような変事が起こる予兆かも知れぬ。また6月、7月に雨が降らない。局地的には水害をもたらすような豪雨に見舞われているが、当地では全く雨がなく、旱魃状態。政治、経済、社会、それに自然、今の日本は何かのつけが回ってきているようだ。明るい希望が見出せず、晴れ晴れとしない。

この鬱陶しい夏に、一念発起してブルックナーの重厚な交響曲を立て続けに聴いた。4番、5番,それに7番、8番、9番 の5曲。いずれもビデオテープ。7番は2003年のサイトー記念フェスティバルの録画、小澤征爾指揮 他の4曲は 朝比奈隆 指揮、5番がシカゴ交響楽団 4番、8番、9番がN響 特に4番は2000年11月の定期で時に朝比奈 92歳。朝比奈は立ったままこの大曲を振っていた。背筋をピンと伸ばし、終始乱れのない指揮ぶりは、風格もあり、とても92歳の老翁の姿ではない。翌年12月に朝比奈は93歳で老衰のため死去した。だからこの映像は朝比奈最後の姿である。ブルックナーの交響曲はベートーベンより長いアダージョ、ところ構わず吹き鳴らされるファンファーレ、単調なスケルツォーがあって気楽に聴ける音楽ではない。そしてどの曲も長い。特に第8番は1時間半以上かけて演奏する指揮者もいる。(チェリビダッケなど)
朝比奈隆ブルックナーのスペシャリストで人気があり、特に2000年の第4番の演奏会はコレが最後か と云う予感もあって会場のNHKホールは超満員、演奏が終わっても拍手は鳴り止まず、オーケストラが退場しても朝比奈ひとり拍手に呼び出されてステージに現れ、総立ちの聴衆に答えていた。日本人の演奏会にはめずらしいことだ。
(未完)