歌劇「シンデレラ」

日曜日  雨。
激しい雨が降ったり止んだり。あいにくの日曜日になった。今日はかねて予定していたイタリア スポレート歌劇場の、ロッシーニ「シンデレラ」の公演を観るために地元の芸術劇場へ。幸い出かける頃は雨が上がり傘の必要なし。
歌劇「シンデレラ」は、ロッシーニのオペラの中でも歌手が超絶技巧を求めれる難曲だそうで、そのためかどうか日本ではあまり聴くことが出来ない。だがスポレート歌劇場には得意の演目だそうで、今回もこの曲目一つで来日し、12ケ所を巡回して今日が最終回。オペラは第1回より最後の公演を観るのがいいのだそうだが、今日が最後というのは会場でプログラムを買って初めて知ったこと。別に通ぶって今日の公演を狙ったわけではない。
出演した歌手は誰も知らない人ばかりだったし、特にタイトルロールのメゾソプラノ、フランチェスカ デ、ジョルジは去年デビューしたばかりの全くの新人だったが、この人を含め歌手7人は声量といい、声の艶といい、とてもうまい。歌うとはこういうことかということを教えられたような気がした。又 合唱が良かった。曲の中に知っているものは一つもなかったが、何しろロッシーニのこと、3時間近くの間、飛び切り上等の歌を並べて聴かされ、飽きることはなかった。さすが、イタリアのモーツアルトと言われるだけのことはある。
 いつかメトロポリタンの来日公演を聴いたが、このときはネトレプコをはじめスター級の歌い手が揃っていたが、歌唱の競演のような印象もあった。今日のスポレートはスターの競演よりアンサンブルの良さが印象に残った。これは指揮者の腕かスポレートのカラーなのか、どちらにせよ好感の残る公演だった。

終演後のカーテンコール、30人近い出演者が並んだ姿は豪華なもの。満員に近い観客の拍手が止まず、何回も出入りがあったが、最後に、赤い字で[sayonara]と書いたイタリアの国旗を模した垂れ幕が降りてきたのはよかった。スマートな演出だった。

 余談。ロッシーニシューベルトより5年早く生まれたが、長生きして、亡くなったのは明治元年。作曲を止めてからは料理人となり、今でも「何とかロッシーニ」というイタリア料理があるそうです。彼の不朽の名作といわれる「スタバートマーテル」はこの料理人時代に書いたもの。