春のたより

土曜日 晴れ。
昨夜は春の嵐のような風雨に、雷のおまけまでついて夜半まで荒れ気味の天候だったが、今日は朝から晴れ上がり、すっかりポカポカ陽気になった。おかげで庭の雑草も元気になってこちらの出番を促されるようになってきた。春の訪れも良し悪しです。

「春」と言えば嬉しい便り、大阪の知人から今年も手作りイカナゴの「くぎ煮」が届きました。それも2種類、山椒風味と柚子風味。
炊きたての白いご飯にのせて口に入れると格別の旨みが一杯に広がって、箸を休めることが出来ないくらい。熱燗の珍味にも絶好です。おかげで、わが家の食卓も春になりました。多謝多謝。


イカナゴ「くぎ煮


山椒風味
 



柚子風味
 


 漱石「道草」読了。再読である。12〜3年前に読んだ記録はあるが、その時の読後の印象は恥ずかしながら残っていません。
「道草」は、大正4年6月から9月にかけて朝日新聞に連載された作品で、漱石の自伝といわれるもの。
去年の11月12日の朝日新聞に、漱石の妻鏡子が熊本時代に最初の子を流産してヒステリーになり入水自殺を図ったことから、漱石は夜、双方の手首を紐で縛って休むようにしていたということが載っていたが、この「道草」にも「或時の彼は毎夜細い紐で自分の帯と細君の帯とを繋いで寝た。」と記述されている。
「道草」を読むと、漱石の日常はいつも鏡子のヒステリー、養父からの執拗な金の請求、漱石自身の胃病、親類縁者とのイザコザなど 俗世間のしがらみに悩まされていて、文豪漱石というより、何かに追われ続けて緊張の取れない男の生涯という感じがする。
漱石は大正5年12月9日、「道草」の次の作品「明暗」執筆中に斃れ「明暗」が未完のまま「遺著」となる。49歳であった。