伴奏者の発言

金曜日 晴れ。
今日は勤労感謝の日、祭日で巷は今日から3連休。当方 祭日も週末もなく無限連休。
だが、いつかわからないが、休みは今日まで、という時が来るのを忘れてはいけない。今の時間は貴重なのだ。無為にすべからず!
 先週、久しぶりに合唱団の練習に出て感じたのは、伴奏ピアニストの大変なことだ。ご本人は何も言わないが、新しい譜を渡されらいつでも直ぐ弾けなければいけない とか、練習の時は一人なので気を抜くことができないとか、その日になって急に半音下げて弾いてくれ といわれたり、どんなことにもすぐ対応出来なければいけない ということは大変なことだろうと思う。そしてギャラは通常指揮者より安く設定されている。
ジェラルドムーアというイギリスの名伴奏ピアニストがいて「伴奏者の発言」という本を書いている。もう60年も前に邦訳がでたものだが、あまり知ることの出来ない「伴奏者」の苦労や、独唱者とのかけあいとか、稽古の裏話などが披瀝されていて一つの音楽論になっている。100ページほどの書物だが名著と言える。そこでムーアが書いていたが一番困るのは、コンサートの本番の日に伴奏をする歌手から、今日は声がでないから半音下げて弾いてくれ、といわれることだという。大抵の曲ならいいのだが、中に伴奏部分に臨時記号がいくつもあってとてもぶっつけ本番では難しいものがあるが、流石のムーアも音が切れてしまうことがあるそうだ。だがそれは聴き手にも歌い手にも理解できず、伴奏者の不出来で終わってしまうのだという。なるほど と思った。
きらいなのは、オペラの曲のピアノ伴奏、なぜならオペラのピアノ編曲にはいいものがないのだそうだ。 
そういうことから、今日はジェラルドムーアの伴奏、フィッシャーデイスカウ独唱のシューベルト「冬の旅」を抜粋して15曲ほど聴く。これは歌唱も伴奏も素晴らしいが、「冬の旅」は伴奏部分がとても美しくよく出来ているのではないか、と感じた。こんな気になったのは初めてだ。ムーアさんのおかげかな?曲の中では15曲目の「からす」がいい。好きだ。