木曜日 晴れのち曇り。
気温 低し。

今日読んだもの。 柳田泉 「民友社の文学」

 博覧強記の著者だけあって、「民友社」の横の広がりに目が行き届いている。
「民友社」は徳富蘇峰を中心とする文学結社だが、その人脈のつながりを要領よく、資料の裏打ちをしながら説いているので説得力がある。流石だと思わせるところあり。
ところで本文執筆中に柳田氏は急逝してしまった。だから未完の部分は別の人が補っており、短い部分なのだが、やはり調子が違うのはやむを得ないところか。
 柳田泉は明治文学研究の大家でその実証の精緻さに定評があった人だ。この人の著作「明治の人と文学」が部屋のどこかにある筈だが探し出せない。困ったものだ。
 尚、蘇峰は明治30年頃までは平民主義者だったが、日清戦争終了後、三国干渉に反発して国家主義者に変貌し人気がなくなった。だから「民友社」も自然消滅している。蘇峰自身は長生きで、昭和32年95才で死去した。