ピアノソナタ作品111。

金曜日 晴れ。夕方から雨。
暖かい!だから楽だというより、「温暖化」の方が気になる。熊も冬眠せずに人里に出没しているそうだ。
 昨日の「音楽展望」に刺激されてベートーベンの最後のピアノソナタOP111を聴いた。
ついでにOP110も。演奏はブレンデル。95年に秋来日した時の録画。もう3〜40回は聴いている曲だが、いつでも初めて聴くような新鮮味と感動がある。2楽章形式で第二楽章が変奏曲、終わりの12〜3小節はPP,吉田秀和の言うごとく静謐、幽冥の音楽だ。ブレンデルも曲が終わったあとの深い「沈黙」がベートーベンの音楽だ とコメントしていた。たしかにこの曲を聴き終わると、一つのピアノソナタが終わったというより、ベートーベンのピアノソナタのすべてが終わったという不思議な気分になる。この曲はベートーベンの書いた32曲のピアノソナタの到達点なのだ。これは32曲を連続して聴くと実感としてよくわかる。この曲に到達するまでの苦闘がベートーベンの生涯だったと言っても過言ではないだろう。モーツアルトの音楽には彼の人生は映し出されていないから、最後のピアノソナタを聴いてもそんな感慨は湧いてこない。モーツアルトの人生を語っているのは、未完の曲「レクイエム」だけである。