2006-03-10 ■ 金曜日 雨。 山口昌男「敗者の精神史」上下読了。岩波現代文庫版。 明治維新以後の薩長中心の秩序から外れた人達が自発的 な繋がりで、「もう一つの日本」を作り上げたことを説いた 力作。実に大勢の人物が書かれたいるが、バラバラな評伝の 寄せ集めではなく、彼らの織り出したネットワークに焦点を あてて記述がすすめられているところが、新鮮な魅力となって いる。ここに書かれている人物の名前を全部書き出し、線で つなげてみると、明治、大正を築いた「裏の人脈」が見えてくる。 久米正雄に文壇を追放された松岡譲が、田園コロシアムを創設し テニスに余生を捧げた人だったことを本書で知った。意外だった。