崎の湯 (南紀 白浜温泉)


土曜日 晴れ。
 何となく春を思わせる空気、頭もおかげでボーッ
 としています。TVは朝から荒川祭り、小泉までも
 荒川を「総理顕彰」するそうだ。
 Qちやんは「国民栄誉賞」だったが、どう違うのか。
 勲章は貰う人より出す人の方が優越感を覚えるものだ
 と誰かが言っていたが、荒川さん 「顕彰」を辞退
 したらいかが?その方が金メダルらしくていいよ。
  淡島寒月と云う人がいた。大正15年に68才で亡くなった
 人で大変な趣味人だったという。ハイカラで明治の世に洋服
 を常用し畳に上に椅子とテーブルを並べ、四角の柱を丸く
 削っていたという。自分の頭髪を赤く染め、目に青いもの
 を入れていたというから恐れ入る。この人の文集「梵雲庵
 雑話」というのが岩波文庫にあって、ペラペラめくって
 いたら、中に湯崎温泉という短い文章があった。ついこの間
 滞在した所でもあり、ちょっと目を通してみた。
 曰く「温泉は五、六ケ所より湧出し、まぶといふ。略)一番
 熱きは、崎の湯のつぼにて、なかなか熱湯沸きあがり、これに
 入るには海水を汲み入れて、ほどよくして浴するなり。ここが
 一番気持ちよく、略)湯に入りながら、太平洋を一望し、鴎飛び
 魚躍るの好景、略)真に日本一の温泉なり」およそ百年前の
 文章だが、温泉の感じはあまり変わっていない。だが、その頃、
 百年前の白浜温泉は、車も高層の温泉ホテルもなく文字通り
 自然のままだっただろう。それを思うと、寒月が日本一と感嘆
 した気持ちがよくわかる。羨ましい温泉紀行だ。