日曜日 晴れ。
 晴れなれど雲多し。雨全くなく、空気はカサカサ。
 午後から かねて予定していたゲルギエフ指揮の
 マリンスキー劇場管弦楽団の演奏会へ。
 曲目はチャイコフスキーくるみ割り人形」組曲と
 交響曲第5番、ゲルギエフでなかったら聴くことは
 なかっただろう。マリンスキー劇場のオケがどんな
 音で演奏するのか想像が出来なかったが、木管も
 金管も管楽器奏者は役者揃い、弦は重厚だがよく
 ハモって心地よく、音量もあって、総じて満腹感
 を覚えさせられるオーケストラだった。
 
 「くるみ割り」はよく演奏される「花のワルツ」など
 なくてあまり聴いたことのない曲の組み合わせ、全体に
 壮大な音楽で、この曲の印象を新しくした。
  有名な「金平糖の踊り」の伴奏がチェレスタであること
 をはじめて知った。見たのも音を聴いたのもはじめて。
 そういえば、バルトークに「管、弦、チェレスタのための
 音楽」という曲があるのを思い出した。
  第5は冒頭のクラリネットの音色に心を奪われた。この
 曲のテーマをPで繰り返して吹くのだが、その柔らかさ、
 歌い方、音色、どれをとっても極上、純白の淡雪の如し。
  ゲルギエフは指揮台を使わず、棒も持たず、掌をひらひら
 させてオケをさばく。意外に大振りはしない。
 主題がこれでもか、これでもか、としつこく出てくるこの
 曲をだれることなく、最後までひきつけて聴かせたのは流石。
  第3楽章のワルツと、第4楽章の弦が低音で合奏する主題との
 転換の鮮やかさが耳に残る。ポピュラーな曲をこんなに惹きつけ
 られて聴いたのは初めてかもしれない。
  新春にふさわしい音楽会だったと思う。