N響 シモンボッカネグラ  快演!

日曜日  晴れ

 寒し。一歩も外に出ず。ストーブの前で猫背で終日小さくなっているだけ。そしてなすことは、TVの画面を眺めることのみ。豊かな老人生活というべきか。 

 夜 9時。例によってNHK,TV,クラシック音楽館を観る。今夜は何と2時間40分の放映。ネルロサンテイー指揮で演奏会形式によるベルデイー「シモンボッカネグラ」全曲。11月の定期だ。30分も見たら飽きるだろうと思ったらとんでもない。サンテイーさんはここ2~3年姿を見なかったので心配していたが、背中の上に顔があるような巨体は相変わらず、何しろこの人は指揮ぶりがいい。バーンスタインのような熱演型ではなく、音楽のフレーズの一つ一つを、丁寧に流れるように振る棒は音楽そのもので、思わず見とれてしまう。全曲暗譜。オペラを完全暗譜で振るのは大変なことだ。台詞も全部覚えていないと出来ないことだ。この人はリハーサルにも楽譜は持って来ないとN響の誰かが言っていた。「シモンボッカネグラ」はストーリーが陰惨で、華やかなところがなく、登場人物の関係も複雑で、あまり人気はないそうだが、今日の演奏はそれを超えて、演奏に惹きつけられた。N響の音が素晴らしく、この前のノリントンのベートーベンとまるで違うオーケストラのようだった。歌手も知らない人ばかりだったが、演奏会形式でありながら暗譜。合唱団(二期会)も暗譜。歌唱に気合いが入っていた。3時間近く続けて観てしまった。暮のNHK音楽祭のミラノスカラ座の演奏会形式による「アイーダ」の放映は二幕の中途で観るのをやめてしまった。今日の「シモン」は緊張感がまるで違っていた。こういう番組を続けられるのならNHKも価値がある。余計な解説がないのもよかった。

 N響は是非聴きにいかねばならぬ。

 

     おまけ

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