音楽展望と薬害肝炎訴訟

木曜日 晴れ。
久しぶりに吉田秀和の「音楽展望」を読む。朝日朝刊。前回はたしかバイロイト音楽祭で「指輪」を観た感想を書いていたからあれは9月だっただろう。4月目だ。毎月書いていたこの「展望」の間隔が開いているのは一寸淋しいがこうして復活しているのは間違いないのでよしとしよう。なにしろ94才の人なのだ。
今日は印象に残っているたDVD,とCDの紹介。この分野は吉田秀和の最も得意とするところ。驚くのは、聴いている音楽の範囲が実にひろいことだ。
ベートーベンピアノソナタを教材にしたピアノレッスンのDVDの感想に始まって、ダムロウのザルツブルグ音楽祭の独唱会のライヴのCDまで、バッハ、ベートーベン、マーラーブラームスシューマン、ニールセン、そして1990年絵のメトロポリタンのワーグナー「指輪」など。これは老人の世界ではない。生き生きした青年の世界だ。文章から音楽を聴く喜びが伝わってくるのがいい。またその変わらぬ筆力には頭を下げざるを得ない。
この中でバレンボイムのレッスンとメトの「指輪」はビデオに録画してあるが、DVDはまだ持っていない。吉田秀和も15年前はLPの紹介をしていたが、今はDVD.当方は時代遅れのアナログ老人になってしまい置いて行かれた。
薬害肝炎の政府案を原告団は拒否した。被害者の補償を投薬の時期で線引きせず,
国と製薬会社は全面的に責任を認めて、被害者一律に「和解金」を支払え、という一貫した主張を曲げていない。政府は大幅の救済金を積み増したが、金額の問題ではない、といって受け入れなかった。カネの問題にスリかえて、マアマアという政府の日本的な打開案を拒否したわけだ。進行する病気がありながら、中途半端な解決を退けた筋の通った主張を崩さないのは立派なことだ。それにしても表に出てくる原告団の人達が何故女性だけなのか、男性はどうしたのか。もし原告団の代表が男性だったら今回の政府案を受け入れていたかも知れない という感じもするがどうだろうか?