坂口安吾

月曜日  晴れ。
 気温はまだ高いが終日爽やかな秋晴れ。不慣れな「杖」を持ってヒョコヒョコと腰のリハビリへ。間もなく2週間になる。随分楽になったが、まだまだ正常ではない。

 就任したばかりの農水大臣がカネの疑惑で辞任!僅か7日間の大臣。1年足らずの中に、農水大臣が3人も続いてカネの問題で自殺、辞任するとは前代未聞の奇怪な話だ。
真面目に働いている庁内の人はやりきれない思いだろう。日本政府は国際的な信用も失墜したことになる。首相の任命責任は重い。

 読書の秋、今、坂口安吾「堕落論」を読みつつある。戦後間もない昭和21年に発表され高い評判を取った戦後文学史を飾る有名な文章だが、恥ずかしながらキチンと読むのは初めて。まだ全文は読んでいないが、本音だけを独特の文体で綴ってあって、頭より腹に応える文章だ。感想は巻を閉じてからにするが、たとえばこんなことが書いてある。「夏目漱石の小説は男女の問題が主体だが、肉体のことはなにも触れていない。自殺したり、(こころ)、仏門に逃げ込んだり、(門)みんな理念だけの上すべりだ。」