納豆とナベツネ。

日曜日  曇り。

 今日の新聞のトップは「納豆ダイエット」の捏造番組問題、こんな番組は見たことはないが、2〜3日前にスーパーに行ったら納豆の棚が空っぽで、「お一人様1ケ限り」の札が下がっていた。ダイエットというとTVの視聴者の反応は異常に早いのだ。無批判に情報を受け入れる。今日同じスーパーを覗いたら納豆は棚にあふれていた。誰も買っていないようだ。買いだめをしたのか、もう納豆には魅力なしと価値観を変えたのか、番組の捏造は悪いが、情報に無批判に飛びつく人たちも問題だ。当局の情報操作に簡単に従うということになる。TV番組はもっと知性がなくてはいけない。今日の買い物「納豆」2ケでした。

 納豆問題で妙なことを思い出した。それは読売のナベツネこと渡辺恒雄が、2004年の夏にプロ野球の再編問題から選手のストライキという大騒ぎになった時、”たかが選手”と発言してマスコミを始め、世間から総タタキになったことだ。中公新書ラクレ
1冊にナベツネ氏の「わが人生記」があって”たかが選手”事件の経緯とプロ野球に対する自分の考え方を順序だてて述べている。事件は04年の7月4日の夜、ナベツネがパレスホテルのレストランで読売の役員としたたかに飲んで玄関に出たら、記者団に囲まれた。記者の一人が古田選手が「球団の代表では話にならないので出来ればオーナーと話をしたい」と言っているがどうか、という質問をしたのに対して渡辺は「分をわきまえなくてはいけないよ、たかが選手が。立派な選手もいるけれど、だが、選手がオーナーと対等に話しをする協約上の根拠は一つもない」と言ったのが事件の発端だ。酔ってはいたが「たかが選手」の1言だけを取り上げて記事にされたので世間に大変な誤解を招いた と述べている。更に渡辺はこの誤解を解くために文芸春秋の12月号に長文のプロ野球論を発表した。これが全文この新書に出ているが、これを読むと渡辺が、野球のルール、野球協約の細かい内容、日米の球団経営の状況、日米の野球風土の違いなどをよく理解した上で問題点を指摘しているので説得力のある文章になっている。ところがこの文章についてスポーツ紙も週刊誌も全くとりあげなかったそうだ。理論的過ぎて記者諸君には理解出来なかったのだろうと渡辺は書いている。それにしても不用意に口にした言葉の1部だけが一人歩きして世間の声になってしまうのはおそろしいことではないか。