正月のテレビ

火曜日  
晴れなれど雲多く寒し。元旦は初日の出も拝めず、今年の運勢はやはりカゲリが多いということなのか。

 暮れから正月のテレビは殆んど見るべきものなし。
よかったもの、
1)大晦日の第九、
指揮はスタニフラフ、スクロバチェフスキー。この人はもう米寿に近いと思うが、足腰はシャンとして1時間以上立ちっ放し。演奏もダラダラせず、若々しい。びっくりした。また合唱の国立音楽大学が良かった。恐らく300人位のメンバーだったと思うが、発声が明るく澄んでいて言葉も明瞭、その上、並んだ団員に上体の揺れが全くなし。美しさは体操の選手の如し。近年出色の第九だった。こちらもお迎えが来る前にもう一度第九の舞台に上がりたいという気にさせられた。
2)元旦の ウイーンフィル ニューイヤーコンサート
もう見るまいと思いながら今年も最後まで見てしまった。
楽友協会ホールはいつものことながら超満員、日本人の顔もチラホラ。今年の指揮者はマリク ヤンソンス。よくこれだけの曲を毎年探してくるものと感心させられるが、このコンサートが何十年も続けていてマンネリにならず、世界中の人気を保っているのは、ウイーンフィルの輝くような演奏力と、個性的なプログラムメーキングにあるのだろう。誇るべき音楽文化都市、ウイーンを首都としているオーストリアという国が羨ましい。

 ないものねだり  指揮台におかれた分厚い楽譜は、この日のために編纂された特製のもののはず。手にとって眺めてみたい。
 
 3)元旦、観世流能「天鼓」。
 後シテを演じた片山九郎衛門は、四十半ばの盛り。謡いの声は透明で張りがあり、舞いも颯爽として惹きつけられるものがあった。関西の人なのでなかなか東京での公演が観られないのが残念だ。前シテは父の人間国宝 片山幽雪。

 4) 2日、宮島の観月能 喜多流「融」
  宮島の能舞台にひたひたと満ちてくる潮と月の光、ここは、まさに「融」の舞台そのものだ。シテの動きは潮と月光の具合が充分計算され、海に浮かぶ独特の能舞台を引き立たせていた。