ゴールドベルグ変奏曲

 土曜日 快晴

 暑し。真夏だ。秋の気配もまだ感じられない。異常ではないか?
このブログの更新も久しぶり、PCを入れ替えたおかげでどうも、扱いがスムースに出来ない。
なんとなく馴染めないのだ。慣れるように努力するしかないか。


 暫くぶりにバッハのゴールドベルグ変奏曲を聴いた。グレングールドの55年版のCD.
このレコードが出た時,世の識者は、グールドの演奏にびっくり仰天したというのは有名な話。この曲はワンダランドフスカが弾いたチェンバロの演奏が規範になっていて、ゆったりとした,荘重な演奏で、これこそバッハの音楽という評価だったらしい。(自分は聴いていない。)
だが、「この曲は長すぎて敬遠していたが、このグレングールドの演奏を聴いて全く認識を新たにした」 というのはあの吉田秀和の言。
 1955年に録音したこの曲は、テンポが速く、繰り返しもすべて省いている。それでいて、音は明瞭、曲の流れもいいから、聴いていて爽快な気分になれる。暑苦しい空気を忘れさせる演奏だ。演奏時間も40分はないから、長すぎるという印象は受けない。
 このレコードはグレングールドのデビュー盤で、大変な評判になり、グレングールドを世に知らしめたレコードと言われている。
 30曲の変奏曲を大変な速さで弾きまくる演奏は、聴いていて決してせせこましい乱暴な演奏ではなく、これがバッハだというグールドの主張が聴き取れる感がする。グールドは1981年にもう一度この曲を録音し、間もなく唐突に世を去った。50歳。グールドの録音はゴールドベルグに始まり、ゴールドベルグに終わったのだ。

 世間には、人生で1枚のレコードを選ぶなら、グールドの55年版のこの変奏曲をとるというファンもいるそうだ。わかるような気がする。