ファゴットで始まる「春の祭典」

水曜日 

 台風4号がらみで風強く、湿度高く不快な気象。夕方から雨も降りだした。

 身体のコンデイションにも良くない。

 昨日の続き。ストラビンスキーの「春の祭典」は名曲だがあまり実演の放映はされない。シャルルデユトワが初めてN響を振ったときの曲目が「春の祭典」だった。

彼は当時、まだN響の指揮者ではなく、モントリオール響の指揮者だった。ご本人もN響の指揮者になるとは思っていなかっただろう。この演奏のVTRが在る筈だが、今のところ所在不明。「春の祭典」の数少ない貴重な映像なのに。

 この曲は全曲複雑な「リズムの饗宴」だが、曲の出だしは、優雅な旋律を木管楽器のソロが吹いて始まる。自分はCDを聴いているだけで、映像も見ず、楽譜も、楽器まではチェックしなかったので、この木管はオーボエかと思っていた。「題名のない音楽会」ではゲストが、出だしのファゴットが、超高音の指定なので奏者がいかに苦労するかということを話題にして、ここで失敗して全体がメチャメチャになった例を知っている、と池辺晋一郎が紹介していた。

実際に楽譜をよく見ると、なるほど、最初の一音が上のファで始まり、この音にフェルマータがついて、ソロが5小節続き、リズムも、4拍子、3拍子、4拍子、2拍子、3拍子と小節毎に変えられているから、ファゴット奏者は大変だろうということがよくわかる。物の本によると、ストラビンスキーは「鳴らない音を必死に出そうとしている感じ」が欲しかった のだそうだが、「春の祭典」は演奏者泣かせの大変な曲なのだ。「題名のない音楽会」をみなかったら、「春の祭典」はオーボエの旋律で始まると信じこんで今まで何も気にしていなかっただろう。勉強になりました。