シェ-ンベルグ「グレの歌」

昨日の日曜日は異常に寒く、冷たい雨も降り続いて、ストーブ頼りの冬籠り生活だった。だがこれも静かで悪くはない。これでゆっくりTVでも楽しめればいいのだが、TVの伝えるところは、ボストンのマラソン テロ,中国四川の大地震、相変わらずの尖閣諸島問題、ノーテンキのアベノミクスなど。どれもこれも国民生活が明るく、豊かになりそうな話題ではない。TVは事件、事故を、刺激的な映像に作り上げ、しつこく流し過ぎる。

 

 日曜日のTVでよかったのは、クラシック音楽館で放映した東フィルの特別演奏会 シェ-ンベルグ作曲「グレの歌」全曲だ。指揮は尾高忠明 合唱 新国立劇場合唱団 独唱 A加納悦子ほか。今年2月 オーチャードホールでの公演。名曲として有名な曲だが、日本では滅多に演奏されない。ましてやTVで全曲放映など初めてだろう。

 オケ、合唱あわせて500人くらいがステージを埋めて壮観だ。マーラーのような奇抜な楽器ではなく、普通より量が多いという感じ。合唱が大編成の男声合唱が主体というのが珍しい。シェーンベルグは無調音楽の旗手だが聴いた感じでは違和感はない。独唱がアリアより「語り」の感じがするのが無調というところか?楽譜を目にしたいところだ。加納悦子が豊かな表情で、堂々たる歌いぶりだった。ただひとり楽譜なしの舞台だった。この2時間近くのコンサートをナマで聴いた人に感想を聞いてみたいものだ。きっと迫力に酔ったことだろう。尾高も懇切丁寧な棒さばきだった。かって小澤征爾はこの曲をボストンで暗譜で振ったという。それがレコードになっている。聴いてみたいと思うが「グレの歌」は音だけでは聴けないのではないか。やはり映像か、せめてスコアでも欲しいところだ。