レコードのベートーベン

土曜日  今日も快晴。
真夏らしい暑さ、云うことなし。熱中症になっても、この年では誰も同情などしてくれないだろう。最良の予防はひたすら不精をきめこむこと と勝手に決め込んで、のんべんだらりと消光するのみ。

 相変わらず、半分意地になってレコードでベートーベンを聴いている。
 今度はベートーベンの作った17曲の弦楽四重奏曲を聴くことに。、先ず作品18の6曲、これはどれも気楽に聴ける明るい曲だ。4番だけが短調であとは長調。特に5番と6番がいい。ハイドンのような音楽もこの2曲ではっきりベートーベンの音楽になったといえそうだ。演奏はどれもバリリ弦楽四重奏団、メンバーは皆ウイーンフィルの首席、半世紀以上も前に購入したモノラル盤、もう音も出ないのではないかと思ったが、針を置いてびっくりした。素晴らしい音だ。澄み切っている。演奏もさすがウイーン、典雅な流れが聴ける。この6曲は長さも丁度いい。どれもレコード片面に収まっている。古いレコードも立派に生きていた。お前は生きていたのか というのが実感!半世紀も手にとらず放っておいたのは 申し訳なかったと謝りたい気持だ。
あと 作品59の3曲、所謂ラズモフスキー四重奏曲といわれている曲だ。演奏は1番、2番がアルパンベルグ四重奏団、これはステレオ盤、3番は古いモノラル盤で、ブダペスト弦楽四重奏団、この3曲は作品18と全然違う。クセがある。ベートーベンの晩年の音楽への橋渡しのような雰囲気がある。

 60年ほど前、プダペスト弦楽四重奏団が戦後初めて来日し、神宮外苑日本青年館で公演した。その頃 東京には会場があまりなかったのだ。その時のプログラムの一つがこのラズモフスキーの2番、勿論自分も初体験、経験したことのない高級な音楽に接したような気分だった。それに 隣の席にいた女性が楽譜を見ながら聴いていたのには驚いた。聴きに来る人の中に楽譜を読める人もいるとは予想もしていなかった。
 それから自宅から5分位の所に、市の公民館のようなホールが20年位前に出来て、そこに何と世界のアルパンベルク四重奏団が来てくれたのだ。その時に演奏したのが、ラズモフスキー四重奏曲の3番、
 だから、ラズモフスキーの四重奏曲には特別な印象と思い出が残っているのです。