ベートーベン ピアノソナタ全曲を聴く

金曜日  雪まじりの雨

寒し、真冬へ逆戻りだ。2〜3日前に冬が去るのは寂しいと書いたがとんでもない。やはり暖かい「春」のほうがいい。

 白いものが混じった冷たい雨が小止みなく降っていて底冷えのする日だ。巷は今日は祭日で今日から三連休の筈。
当方は関係なくいつもと同じ。
 
 寒さのため終日 部屋に籠る。

ベートーベン ピアノソナタ 最後の3曲を聴いた。演奏はグレングールド。3曲の偉大な作品を前にして、流石のグールドも余計な装いは付けられず、まともな、楷書的な演奏に終始。
それにしてもグールドは音の粒がとてもきれいだ。録音技術もさることながらやはり奏法なのだろう。
ベートーベンは「悲愴」「月光」「テンペスト」「熱情」などの「名曲」を経て、32曲のピアノソナタの最後に2楽章の作品111番 ハ短調を書いた。専門的なことはわからないが、この111番の中には、ベートーベンの音楽精神のすべてが凝縮されて入っているような気がする。「名曲」群とはまるで違う。無駄なものがひとつも無い。難解だ と云う人もいるが 聴き込むと極上の香りを味わえる精神安定の妙薬になる。バッハでも、ハイドンでも、モーツアルトでもないベートーベンでしかない独特の音楽世界だ。グールドに引き続いてリヒテルの演奏も聴いてしまった。
 吉田秀和グルダとケンプの演奏がいいと何かに書いていたが
それは聴いていない。
 32曲全曲を聴くと、本当の音楽を聴いたという充足感が残る。もう15回目くらいか?残りの人生、あと何回聴くことが出来るだろうか?