汗かきマーラー

木曜日  晴れ
TVの気象情報を観るのがいやになってしまった。とにかく毎日同じ。陽射しの強い猛暑日が続いて、山間部を除いてこれからも雨の気配なし。熱中症に充分注意せよ。気象庁のメッセージはこれだけ。予報官もお手上げといった感じだ。
日本は四季のない熱帯になってしまった。少し涼しい所があれば避難したいものだ。それとも、何もせず エアコンつけて梅干なめて暮すか。これが熱中症予防になるらしい。

ところで、このクソ暑いのに、8月はマーラーの交響曲を全部聴いてしまった。一体マーラーはなぜあんなに複雑で巨大な交響曲を10曲も作ったのだろうか?しかも楽器構成も複雑、それに10曲のうち半分の5曲は声楽つきだ。
朝比奈 隆が、マーラーは演奏家泣かせだ と何かに書いていた。それは曲が難しいという意味ではなくて、マーラーが楽譜にコマゴマと曲の表情、表現を指定し、楽器の奏法まで指示しているからだ。朝比奈はこれは演奏家の仕事だ といっている。
こちらも楽譜の書き込みを全部読んで理解できれば、マーラーの音楽が余程よくわかるのだろうが、シロートの悲しさ とてもそこまでの力はない。

いいのは、先ず3番、次に「大地の歌」、そして矢張り9番かな。
晦渋でわかり難いのは7番の第1楽章。マーラーの曲にはマーラーぶしともいうべき魅力的な旋律がある、たとえば2番の第2楽章、4番の鈴の音、など、だがモーツアルトの魅力とは違う。吉田秀和は何とも言えぬ魅力 といい、誰かは借り物の安っぽさと酷評している。
自分はマーラーぶしは、きつい登山道にあるホッと出来る休息場所のような気がする。

フルトベングラー、カラヤンベームは殆んどマーラーを演奏しなかったという。バーンスタイン、ショルテイー、小沢征爾アバドなどが火をつけ、いまはマーラーを振らない指揮者はいないだろう。
サバリッシュも振っていないかもしれない。