オトマール スウィートナー逝く。

火曜日 雨

寒し。夜は所により雪になる との予報だが、18時現在当地ではまだ雪の気配はなし。

N響名誉指揮者 オトマール スウイートナー氏ベルリンで死去の報伝わる。87才。10年ほど前から具合が悪いとの情報があり気になっていたが、やはりダメだったのだ。

ドラキュラのような風貌だったが、そのタクトから紡ぎ出されるのは、心に染みる典雅、流麗な音楽だった。1974年ドレスデンを振って録音したモーツアルト交響曲39番のLP、所持しているただ一つのスウィートナーのLP盤だが、その演奏の弦の美しさと、メヌエット楽章のトリオで歌われるクラリネットの馥郁とした香りは絶品。何度聴いただろう。幸か不幸か、今となっては貴重な遺産になってしまった。もうひとつ残してあるスウィートナーの映像は、1989年11月のN響定期で振ったドボルザークの交響曲第8番だ。今日 独特の雰囲気があるスウィートナーさんを偲ぶためにこのテープを観た。この交響曲はチェロ、トランペット、フルート、オーボエファゴットなど様々な楽器がボヘミアの旋律を歌い上げる綺麗な曲(名曲 新世界 よりはるかにいい。)なのだが、このオーケストラを歌わせるという腕前は、ほかにないスウィートナーの聴きどころではないか ということを始めて認識した。専門家の意見も聞いてみたい。
 この頃のN響はうまい。顔をみるとバイオリンの徳永二男、チェロの徳永兼一郎、フルートの小出信也、オーボエの 小島葉子、クラリネットの浜中浩一など名手ぞろいだ。NHKはN響の時間に追悼番組をどのように作るだろうか、期待せずに待ってみよう。