雨中の観能

火曜日  雨。
午後から宝生能楽堂へ。野村萬斉、亀井広忠、一噌幸弘という生きのいい、俗な言葉でいうなら旬の3人が主催する会に、わが師匠が「望月」を舞うという豪華な会へ、10日ぶりという雨天をついて出かける。



能「望月」は、主君を殺され、今は中仙道 守山の宿「兜や」の主人になっているシテが、たまたま宿を求めてきたカタキ「望月の秋長」を、同宿していた主君の妻と遺児と共に殺して仇を討つという、能の世界では珍しい芝居のような作品だ。シテに謡いがなく、語りでだけというのも珍しい。見せ場は子方の鞨鼓の舞いと後シテの獅子の舞い、子方の内田貴成君は前に観た時よりキビキビしてよく役を務めていた。鞨鼓をつけて舞台を廻る姿が可愛いく、後見の祖父 安信さんも満足だっただろう。シテの獅子の舞いはメリハリが利いて、見所の観客のすべてを惹き付けた。まさに名人の芸だ。囃子、特に大鼓の亀井広忠も掛け声に迫力あり、獅子の舞いに色を添えていた。見所は満員、TVで見かける人 学者先生かな?も何人か来ていたようだ。つまらないことだが、今日は客席で謡い本を広げている人に気がつかなかった。素人には難しいからかな?