能「六浦」

水曜日  曇り。
 浜友会の稽古日。今日から稽古は「六浦」にかかる。舞台が称名寺なので、地元でもあり内容はわかり易い。詞章にある「鎌倉山を越え過ぎて六浦の里に着きにけり」は今の散歩コースだ。能「六浦」の主役は楓の精。鎌倉に住んだ冷泉為相が、紅葉を見るために称名寺に遊んだとき、山の紅葉が未だなのに一本だけ見事に紅葉している楓があるのを見て
「いかにしてこのひともとにしぐれけむ、山に先立つ庭のもみじ葉」という一首を詠んだ。楓はこの一首で謙譲であるべきと反省し、以後紅葉しなくなったという。この常緑の楓が称名寺には記念に残されているそうなので、全山紅葉した頃見に行って来ようと思う。稽古のあと、久しぶりに師匠と一杯やりながら歓談。