吉田秀和「バイロイトの今」を読む。

木曜日  快晴。
暑し。全国的に真夏日。とても彼岸の入りとは思えぬ。気象予報士は23日から空気が入れ替わって秋になるというが、どうだろうか。
 吉田秀和のコラム「音楽展望」が再開されて楽しみにしていたのだが、半年以上中断しているようなので心配していたが、今日久しぶりにその筆を読むことが出来た。そして吃驚した。題して「バイロイトの今」。他人事ながら93才という高齢を気にしていたのだがとんでもない!彼はこの暑い夏にバイロイトへ行っていたのだ。そして観たのが選りによって4晩にわたる「ニーベルングの指輪」。それをみて感じたことを書いているのだが、流麗でかつ情熱溢れる立派な文章だ。全く年齢を感じさせない。これは吉田秀和しか書けぬものだ。主題はオペラの「演出」のこと。
たしかに、今NHKで放映しているザルツブルグ音楽祭のモーツアルトのオペラも「演出」先行で、音楽の前に「演出」が立ちふさがっているようで違和感もあるのだが、バイロイトワーグナーは先ずその年の「演出」を見るのが楽しみなものらしい。今年のバイロイト音楽祭の「指輪」の演出の模様は、吉田がわかり易くかいているのでここでは触れないが、憎まれ役ハーゲンを軽く扱う流れとか、終幕のクライマックス ワルハラの城が炎に包まれる場面はどうだったのか 観たくなる。
それにしても、ザルツブルグで上演された「ドンジョバンニ」の、意表をつくような舞台の映像がまだ記憶に新しい中で読んだ吉田の「音楽展望」は、また格別の味わいのあるものだった。