吉田秀和の「音楽展望」

水曜日 晴れ。
昨日とうってかわり快晴の1日。気温も15℃くらい、春の如し。朝、℡あり、師匠、体調不良のため今日の「浜友会」の稽古は中止の由。気になるので夫人に確認したところ、風邪で発熱、声も出ないので、24日の京都の舞台のため大事をとらせていただきました、とのことだった。そういえば、関係はないが美智子皇后も発熱、休養中だ。

 昨日の新聞はトップ記事で、旧青山中央監査法人、いまのみすず監査法人がこの7月に解体されることを伝えた。今日の記事では、全社員が移籍されることで、トーマツ、あずさ、新日本の3大監査法人と基本的に合意したことを伝えている。これは大変なことだ。何しろ1200人の公認会計士が宙に浮くのだから。もう関係はないが、あれこれやりとりのあった何人かの会計士の顔が浮かんでくる。心情を聞いてみたいものだ。600社くらいあるというクライアントも対応が大変だろう。

夕刊には吉田秀和の「音楽展望」を掲載。もう80才の半ばだと思うが、今日の文章はTVも新聞も遠ざけた彼の老境の香りが漂っている。今までにない味わいだ。ところが、文章の終わりに書かれたベートーベンの最後のピアノソナタ作品111についてのコメントが実にいい。少し長いが引用しておく。最近アンスネスの演奏でこの曲を聴いたということで「とくに第4変奏以降の音楽はこれ以上考えられない微妙な音で影の世界に出没する何かみたいに聞こえた。(中略)ベートーベンは「晩年に向かうにつれ、こうした諦念に満ちた霊妙の世界に入っていったのである。この音楽のあと残していった沈黙は、およそ音楽から生まれた沈黙の中でも最も深いものである。」これを言いたいために全体があるような気もするがどうだろうか。自分は浅学にしてアンスネスなるピアニストを知らない。たしかに作品111のソナタは精神が研ぎ澄まされるような深い深い音楽だ。書いていると聴きたくなる。