「昭和天皇」を読む

水曜日 晴れ。

 ハーバート ビックス著「昭和天皇」上,下。2002年7月、講談社刊。
 読了!この本が売り出されて暫くの間、少なからぬ評が新聞、雑誌などに寄せられた。それを横目で見ながら購入もしてなかったのだが、関心の波が引くとこうした本は値下がりして買い易くなる。
それは兎も角、本書は昭和天皇の戦争責任の所在を追及すると共に、何故 昭和天皇が戦争責任を問われなかったのか を一貫して説いたものである。退位を勧める、秩父宮高松宮とのやりとりが語られ、昭和天皇が決して「平和主義」者ではなかったことが知らされる。これだけなら興味本位のキワモノのようだが、広範囲の資料を丹念に読み解いて書き上げた「学術書」である。本書を読むと戦犯を裁いた「東京裁判」の実態を知りたくなる。時代おくれだが、長い間ツン読の清瀬一郎「秘録 東京裁判」を読んでみようか。(読売新聞社刊)余計なことだが、平成の天皇には、こんなドラマチックな評伝は書かれないだろう。その評伝は「昭和天皇」ほど面白くはないと思う。