エリザベート・シュワルツコップ

日曜日  晴れ。
 暑し。38℃超えの所も多し。今年は梅雨明けがおくれた分を「暑さ」で取り返すという算段か?
エリザベート・シュワルツコップの死去が伝えられた。90才だという。半世紀前 クラシック音楽を聴きだしたころ、シュワルツコップは名ソプラノの名前をほしいままにしていた。もう90才だったと思うと感無量のところあり。彼女の声を聴こうと思いレコードを探したがない。有名な1951年のバイロイト音楽祭の第9で、ソプラノをシュワルツコップが歌っていたのを思い出し、これを聴く。透明で何とも清潔な声だ。
1954年のザルツブルグ音楽祭でフルトベングラーの振った「ドンジョバンニ」のビデオがあり、彼女はドンナ・エルヴィラ役を歌ったが、このビデオはデラ・カーサが出ている。CDはシュワルツコップなのだが、映像がないのは何か事情があったのだろう。CDを聴くとあまり調子が良くないようだ。今になると非常に残念だ。映像を残してほしかった。一つだけ手許に古いLPがあった。ギーゼキングの伴奏で歌った「モーツアルト歌曲集」。もう50年くらい前のレコードでステレオで
はない。音も鮮明ではないが、歌はとてもいい。またギーゼキングのピアノが抜群にうまい。この
レコードは40才前の彼女が最も声の良かった頃の歌唱ではないだろうか。この古いLPは最近は手にとることもなかったが、死去の報で聴く事が出来た。そしてシュワルツコップのうまさをあらためて知ることになった。
もし吉田秀和氏の筆が健在なら、心情溢れる追悼の文章を綴っている処だろう。それが、叶わぬのが残念である。