岩波新書(2)
日曜日 薄曇り。昨日に比べ暑さやや和らぐ。
昨日の続き。岩波新書の5種類を改めて並べてみる。
赤版、青版
黄版、新赤版
リニューアル版
夫々の裏表紙
右の白いのはリニューアル版
自分にとって岩波新書とは青版のことである。戦後未だあまり
本のなかった時に鮮やかな青色の岩波新書が出た時は、まだ
高校生だったが、日本が文化国家になったような気がしたものである。
初期のものが、まだ2〜3書棚に残っている。
「解放思想史の人々」大塚金之助
「科学と社会」 中谷宇吉郎
「明治の政治家たち」服部之総
「自由と規律」 池田 潔
「文学入門」 桑原武夫
定価始め90円、その後100円の時が長く続いていたと思う。
青版の新書は毎月3冊規則正しく出されたから、この新刊広告が
大変楽しみだった。横に並べると背中の題名がそのまま「教養」に
なるような気分になったものである。新書巻末の目録をいつも
眺めていたから、最初の100冊くらいは今でも書名や著者名を
諳んじているくらいだ。
100冊といえば丁度自分の学生時代に刊行されたものだ。
岩波新書は当時の学生に広く受け入れられたのだと思う。
では今年3月に刊行を終えた新赤版はどうか
新赤版は今年の3月で刊行を終えたが、今年出された15冊の中から
ランダムに書名を挙げてみる。
「事業再生」高木新二郎
「医療の値段」結城康博
「生老病死を支える」方波見康雄
「壊れる男たち」金子雅臣
「思春期の危機をどう見るか」尾木直樹 など。
何か青版とは書名のニュアンスが違うようだ。「教養」というより「参考資料」に近い。
テーマに「明るさ」がない。
リニューアル版の刊行記念に鹿野政直氏が「岩波新書の歴史」
という労作を出された。これを読むと新赤版1000冊の中に書名も著者も
知らないものが幾つも出てくる。これは自分の責任だが、時代
と岩波新書の様変わりによる所もある。
毎月3冊ずつ出される青版新書を待っていた頃はよい時代だった。
リニューアル版1000冊が並んだ時、最後の15冊にどのような
タイトルが並ぶのか、関心があるがそれはまだ16〜7年先のこと。
それが見られないと思うと寂しいものである。